自然栽培への想い

土に触れ、自然と向き合うなかで感じたのは、

「僕らは自然に生かされている」という、あたりまえで大切なことでした。


それなのに、自らその自然を壊すようなやり方では、本当の意味で農業とは呼べない。

だから僕は、農薬や化学肥料に頼らず、自然や野菜が本来持っている力や味を、まっすぐに届ける自然栽培を選びました。


日本の食料自給率の低さや、農薬の問題など、

今の農業が抱える課題と真剣に向き合う中で、

これからの未来をつくっていく若い世代の人たちに、

自然農業の楽しさや難しさ、そして命を育てるという営みの本質を、自分なりのかたちで伝えていきたいと思っています。


とはいえ、最初はうまくいかないことの連続でした。

自然は思い通りにはいかない。だからこそ、よく“観て”、よく“聴いて”、よく“考える”。

正解のない毎日に、頭も体も使いながら、土と向き合い続けてきました。


そんななか、お客さまから

「おいしい」「自然栽培をやってくれてうれしい」と言ってもらえる瞬間が、何よりの励みになっています。


僕がこの畑を通して目指したいのは、

「人も野菜も、見た目だけじゃなく、中身の大切さを感じられる社会」。


人に個性があるように、野菜にも無数の個性があります。

多様なカタチや色、大きさ。豊かな自然環境と、繊細な成長過程。

それらを乗り越えて生まれる強さと味わいが、その野菜の“らしさ”をつくっている。


“他と違う”こと。それは弱さではなく、可能性。

僕は、農業というフィールドから、そんな個性を祝福できる文化を育てていきたい。

そして、誰かの心を耕せるような、そんな野菜とストーリーを、これからも届けていきます。